2013/12/01
「智」の人といえば、
畏れ多く、近づき難いイメージなので
ちょっとドキドキ...
記念すべき第一弾は、
『建長寺』を代表する僧侶のお一人
高井正俊総長のお話をうかがいに行きました!
(臨済宗建長寺派の宗務総長という重要な役職です)
世界に知られる禅宗文化の原点である『建長寺』。
今もたくさんの修行僧がいて
ふつうの人が足を踏み入れることのできない
場所も多い、神秘の世界です。
まずは、高井総長がどのように
『その道』に入られたのか...お話ははじまります。
〜建長寺 高井総長のお話が聞きたい!〜
①高井和尚さん、お坊さんになる、の巻
高井総長は、建長寺の中でもすごくエライ方なのに、いつもとても気さくに話しかけてくださいます。今日も「なになに?ボンズくん?」とニコニコされながら、建長寺のお部屋に入っていらっしゃいました。
ボンズくんチーム(以下B)
今日はお忙しい中、どうもありがとうございます。
はじめに、「高井総長」をどのようにお呼びするのがよいか
教えていただきただけますか?
高井総長(以下T)
「高井総長」というのは、建長寺の中での役職なので、
一般的ではないですね。
B 一休さんのように「和尚さま」や、
「住職」というのは...?
T 「住職」というのはお寺の代表役員、社長のことで、
「和尚さん」はお坊さんの丁寧な呼び方になりますね。
『高井和尚さん』でいいですよ。
「和尚さん」は女性でも、ほとんどの仏教の宗派でも使います。
お坊さんの呼び方が宗派で異なることもあって、
日蓮宗・浄土真宗は日蓮上人、法然上人という呼び方に倣って
「◯◯上人」と呼びます。
禅宗の寺では「◯◯禅師」という呼び方をしますけれど、
一般名称としては遠いので、『良寛和尚』のように「和尚さん」でOK!
B お寺に入られたのは、ご実家がお寺だったためですか?
T 職業選択として考えていなかったね。
何をしたいか、ということだけ考えていたけれど...
お釈迦様の手の上から逃れられないように(この道に入った)。
B それまでは、何をされていたのですか?
T 大学で、中世の日本文学を学んでいました。
でも大学というのは自分の限界が見えてくる。
勉強も才能も、プレッシャーで疲れて、そんな時に
建長寺に修行に来たんです。実家の寺が建長寺派だったから。
B お寺に入られてみて、どうでしたか?
T 毎日毎日やっていくだけ。
禅宗の修行は、先輩後輩の上下関係はあるけれど、
修行で食べるもの・やることも同じだからね、
ひたすらやるしかないね。
B 頭を剃られて、鏡で姿を見られてどんな風に感じましたか?
T 昔は坊主頭が多かったから、それほど違和感がなかったな。
B 高徳院さん(現御住職)のように頭を剃らない場合もありますね?
T 浄土宗は、親鸞が有髪(うはつ)だったから。
親鸞は在俗=世間の中に入って(活動して)いたんです。
それでも一度は得度(出家する)の時に剃髪しているけれど。
お坊さんになるのには「得度式」という宣誓式があって
髪を剃って、その後、修行道場では五日に一度剃ってましたね。
仲間とお互いに剃るから最初は血まみれになってしまって
大変でしたよ。今はいい髭剃りがあるから毎日剃っています(笑)。
B 好きなお経の一部(ことば)を教えていただけますか?
T 「所依(しょえ)の経典」で宗派によるから
(注:宗派によって所依とする経典が異なり、全ての宗派で
共通に用いられる経典は存在しない)どれと言えないね。
B 宗派とお経の関係を少し教えていただけますか?
T 日蓮宗は法華経だけ。
浄土宗は"浄土経典"といって浄土を説いているお経だけ。
真言宗はおまじないの世界。加持祈祷、神秘的な「行」を行う。
金剛界曼荼羅と胎藏界曼荼羅という二つの世界、
精神世界(注:金剛界曼荼羅)とそれ以外の世界(注:胎藏界曼荼羅)を
どうとらえるかということをやっています。
そういう中で、天台宗は、あらゆることをやります。
総合的な勉強をしている。
奈良仏教というのは、学問仏教、学問として仏教を取り入れていました。
信仰、宗教ではなくて、勉強する思想哲学だったんです。
平安仏教になると、加持祈祷(などが始まる)。
天台は勉強にウェイト、真言は「行」にウェイト、神秘の世界。
平安貴族はそのどちらを選択するか、どちらに喜びを感じるか...
学問的か加持祈祷か。
(さて、いよいよここから、>>第二回鎌倉仏教のお話につながっていきます)
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