智

2015/12/27

「覚園寺&明王院 仲田ご住職のお話が聞きたい!④ 『鎌倉と密教...のほんの入口』の巻」

覚園寺と明王院、二つのお寺のご住職である仲田昌弘さんと、ご次男で明王院の副住職をされている仲田晶弘(しょうこう)さんのお話。最終回は、「お寺」と私たちの関係、そして想像もしていなかった結末に?!

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覚園寺さんと明王院さんは、宗派でいうと真言宗、密教のお寺です。せっかくの機会なので、鎌倉の密教についてもお聞きしたい... でも「秘密の仏教」といわれているだけに、難しいでしょうか...

ボンズ・チーム(以下、ボンズ)
少し宗派のこともお聞きしようかと思っていたのですが、たぶん深過ぎてちょっと大変なことになりますよね。大変なことになるかな...

仲田昌弘ご住職(以下、ご住職)
多分みんな密教って何ですかって質問してくるんじゃないですかなって思っていたけれど、密教はそう簡単じゃないよってお話しようかなと(笑)

ボンズ:やっぱりそうですよね、質問するにも大きなテーマなので、徐々に、いろんなお寺を訪ねながら伺っていけたらと。

仲田晶弘(しょうこう)副住職(以下、晶弘さん)
イメージとしては、たぶんね。鎌倉と密教っていうのは離れた感じですけれど、鎌倉幕府が造ったお寺だとか、その当時のオフィシャルなものに関しては密教色の強いものがすごく多いです。八幡宮寺もそうですね。鎌倉時代まで頭をクーッ戻すと、臨済宗や日蓮宗というのは、当時の新興宗教なので、オフィシャルなところが造るものは、その前の時代の平安時代からあるもの(宗派や形式)になった。

ボンズ:たしかに、当時の視点で考えてみるとわかりやすいですね。
晶弘さん:それから鎌倉幕府が造ったものというのは、幕府がなくなった後、どんどんバックアップもなくなってしまうので、そこから禅宗にお宗旨替えしたところも多かったんです。

ご住職:天台もやっぱり密教ですね。

晶弘さん:前の回(第一弾 建長寺高井総長のお話)にも出ていた、栄西禅師さま、も「臨済宗の僧侶です」って言って入ってきたわけじゃないですからね。天台宗のスペシャリストなんです*。で、その中で臨済宗の坐禅もできますよ、というところだったんですけれど、京都ではなかなかそのまま受け入れられなくて、鎌倉で特長を出すことになった。鎌倉に来て臨済宗というのをやりますけれど、でも密教のスペシャリストでもありますから、ご祈祷に関しても、とっても上手になさると。

*鎌倉時代に生まれ育った宗派のほとんどは、密教を含んだ天台宗から来ていて、比叡山で勉強した人が鎌倉仏教を開いたことは、第一回建長寺 高井和尚様のお話にもありましたね。

ボンズ:栄西といえば、お茶の木を中国から持って来た禅宗の僧侶で、臨済宗を開いたとしか習ったことがなかったけれど、なるほど、そういうことなのですね。

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晶弘さん:なんだか今臨済宗の方と僕や密教寺院の方たちが(いろいろな活動を)とても仲良くやっているというのも、もともとそういう繋がりがあるのかなあと思ったりしますね。

ボンズ:きっとご縁ですね。

晶弘さん:例えば日蓮宗はとっても違うアピールの仕方をして出てきましたけれど、もともとは天台でお勉強なさった方ですから、教義の違いではなく、当時のお坊さんは堕落していると批判していくところで認められて、一大勢力になっていった。鎌倉と密教というのは、実はとても繋がりの深いものなんです。当時はね、元寇の時には、元軍退散のご祈祷もしますし、これからこういう戦いに行く、言うことを聞かない人を成敗しに行く、という時も、必ずご祈祷ご祈願するということはやっていましたから、密教寺院が持つ役割はとっても大きかったみたいですね。

ご住職:当時ご祈願する、ということに関しては、極端にいったら、密教の専売特許だった。覚園寺の四宗兼学(お話の第一回を参照)ってあるでしょ、専門道場、勉強する所だったから、そこで教えをいただいたら、天台でも戒(かい)を授けてもらい、禅宗でも戒を授けてもらう、ということになるんですけれど...

ボンズ:あの、「戒を授ける」というのは?

晶弘さん:そこのお弟子さんになること。「戒」を授けられる方は「受戒をする」と言いますね。「戒」というのは、お坊さんが守るべきルールを授けてもらうと言ったらいいですかね、いわゆる出家の時のお作法です。
お葬儀の時に「戒名」ってあるじゃないですか、「戒」を授けてもらうと名前が変わるわけですよ。お葬儀の時のお次第は、僕らの出家のときのお次第と一緒なんです。相手が生きているか死んでいるかの違いだけで。

ボンズ:ああ「戒名」というのは、そういうことなんですね。
つまり、お葬儀の時に戒名を渡されのは、戒を授かったということですよね。

晶弘さん:亡くなってからの旅立ちは、例えば明王院でお葬儀をするとすると、明王院のお弟子さんとして旅だってくださいと、弟子入りをするわけです。

ボンズ:なるほど、だから仏さまになったって言うんですね。

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晶弘さん:そうそう、そこのお寺さんの仏さまのお弟子さんになる。弟子入りするわけです。ですからその導く先生が戒師、導師となります。そういう一連のストーリーがあるんですね。ただお葬儀というとお経を済ませているわけではなくて、真言宗のものに関しては、出家の作法そのまんまですよ。

ボンズ:それは真言宗だけのものですか?

晶弘さん:いやそれぞれ全部あります。戒名をお授けするというところに関しては、(他の宗派の)全部のお次第を見たことはないですけれど、大まかなところは皆一緒だと思います。出家の作法ですよね。

ご住職:仮の世界から仏の世界、生きているうちは仮の世界なんですよ。

晶弘さん:ここでこういうことを守りましょうという戒を授けるわけです。

ご住職:だからキリスト教でもそうでしょ、洗礼受けなかったら信者になれないでしょ。

晶弘さん:あ、似ているかもしれませんね。

ご住職:洗礼を受けていない人は教会の中で葬儀ができないでしょ。キリスト教の洗礼というのは、われわれでいう戒だわね。だから亡くなるちょっと前でいいから、洗礼を受けて、葬儀を教会でという方もある。

晶弘さん:似ていると思います。キリスト教徒として、守ること、詳しくはわからないですけれども、その流れはとても似ていると。
お寺の方では、お寺のお弟子さんとして旅だっていただくために葬儀をする。

ご住職:ただそれが、今段々だんだん崩れてしまっているわけ。

晶弘さん:明王院の場合はお檀家さんがないので、だいたいお葬儀の時は、まずその説明からはじまるわけです。今日戒名をお授けして、これからは仏さまのお弟子さんとして旅だっていただきますから、皆それを応援しましょうと、御供養というのは応援することです、と言わないとわからないから。

ボンズ:わかりやすいです。それ、いつでも言ってほしいですね(笑)明王院さんに限らず。

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晶弘さん:できれば、どなたか亡くなってからお寺へ行って、初めてそういう話を聞いてお葬儀もドキドキしながらやる、というのではなくて、普段からそういうお話を聞いていただけるとうれしいですね。お寺の方でも、そういうことを聞いてください、という雰囲気作りをしなきゃいけないと思います。「戒名」ってお金を払わなきゃもらえないものなんですか?というものじゃなくて。

ご住職:今の一般の人たちは、教会は生きているうちに行くけれど、お寺は死んでから行くものと思っているかもしれない。でも違う、違う。元々お寺は生きているうちに行く所なんですよ。自分のことをよく知っていてもらって、戒を授けてもらう。だから死んでからではなくて、生きているうちに来てくださいと言ってます。導師さまが声掛けても死んでしまっていたら声が返ってこないでしょ、とね。生きているうちに声掛けられる方がうれしい。

晶弘さん:そのぐらいのことは、密教でも秘密でなくて話せますから(笑)それ以上のこと、お作法のこととかになってくると、あんまり言っちゃ行けないといわれることが多いですね。

ボンズ:あ、密教の秘密の入口にちょっとだけ入れました。

晶弘さん:よくうちでは、体操に例えるんですけれど、いきなり宙返りしたらケガしちゃうから、だんだんに練習していくようにちょっとずつやりましょうと。

ご住職:ハサミ入れるのなら、いつでもできるよ。

ボンズ:ハサミですか?

ご住職:ハサミ持ってくれば、すぐにあたま髪の毛切ってもらって(笑)

晶弘さん:そうそう、それ以上聞きたい?それにはご出家していただいて、カミソリもって来られたらすぐ...

ご住職:そうそう、あははは

ボンズ:いえいえ、人生が変わっちゃう!

晶弘さん:取材に行ったら、皆さん尼さんになって帰ってきちゃったなんてことがあったら(笑)

ご住職:いやそういう方が、ボンズくんニュースになるよ(笑)

深いお話だなあと伺っていたら、最後はなんと出家のお話!
貴重なお話の数々を、楽しくわかりやすく伝えてくださったご住職と、晶弘さん、本当にありがとうございました。

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■明王院(飯盛山寛喜寺はんせいざんかんきじ明王院)通称「五大堂」
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真言宗御室(おむろ)派
1235年四代将軍藤原(九条)頼経によって建てられました。
鎌倉幕府の鬼門除けとして祀られた五大明王は、不動を中心に、東に降三世(ごうさんぜ)、西に大威徳(だいいとく)、南に軍荼利(ぐんだり)、北に金剛夜叉(こんごうやしゃ)。護摩法要の時に拝顔できます。

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