甘〜sweets

2016/04/07

「10 ニュー段葛に、桜サク。」

3月30日、新しくなった段葛がお披露目されました。

2014年11月から続いていた改修工事が無事に終了して、
しばらく鎌倉の東西を分断していたフェンスが取り払われた開放感!

若木の桜が小さな花を一斉に咲かせる中
竣功式と、歌舞伎俳優 中村吉右衛門さんによる通り初め、
舞いの奉納などが執り行われ、いよいよ通行が解禁されました。


1180年末、現在の地に八幡さまが移されて
武家の都の中心となる "鶴岡八幡宮寺" の建立がはじまり、
翌々年1182年に、造営されたといわれる段葛。

参道である若宮大路の中央に小高く築かれた段葛は、
京に負けない都を創ろう〜という関東武士たちの夢と希望と心意気が
ギュッと詰まった象徴的な道だったかもしれません。

折しも北条政子のお腹には長男頼家がいて、
源頼朝は、安産を祈願しながらみずから「石を置いた」という
言い伝えにも、新しい時代の息吹を感じます。

「置石」は、かつて段葛の別名でもありました。

箱のハト.png

明治時代になると、神仏分離によって境内も大きく変わり
道路整備で一ノ鳥居からニノ鳥居までの間の段葛は
壊されてしまったけれど、

今でも、ニノ鳥居の東側エリアは
「置石」地区と呼ばれています。


ほとんど住民しか目にすることのない町内会の名前ですが、
2015年4月、ニノ鳥居前に生まれた洋菓子店に
その名がつけられました。

豊島屋洋菓子舗「置石」

鳩サブレで全国にその名を知られる「豊島屋」が
うなぎの老舗「浅羽屋」が店を閉めてしまった後、
その地を引き継いで、昨春開いた店です。

桜クッキー2.png

季節限定の「ラ・スリーゼ」は、桜の花を象ったクッキー。
ニュー段葛に咲く桜を寿ぐように華やかで
今この瞬間の心を映す御菓子です。

このトキメキは、一時だけのものなのか...
それとも、来年も、再来年も、また望まれて
時代を超えて愛される御菓子に、なっていくのか...


提灯.jpg

伝統を守ることにも、
新しいものを生み出すことにも、
今を生きる人の知恵が試されるけれど

「置石」という名前を背負って立つ
スタートからまだ若いお店と御菓子の"これから"を、
段葛に植えられた177本のソメイヨシノの
成長とともに、楽しみにしたい と思います。

三河屋桜.jpg

これまで段葛に植えられていた桜250本のうち
元気な30本は他所へ移植、樹勢の衰えた残りは撤去されたとのこと。
早咲きの玉縄桜5本も引っ越してしまったのかな...


遡って今から300年以上前、幕末に撮られた
鶴岡八幡宮寺の門前と、段葛の写真を見ると、
桜はなく、現在とはずいぶん違う風景です。
(『甦る幕末』ライデン大学写真コレクションより)
江戸時代の段葛1.jpg

江戸時代段葛2.jpg

段葛に桜が植えられたのは、約百年前の大正時代で、
それ以前は、一ノ鳥居の周りに名残があるように、松の並木。
時代とともに段葛も変化してきました。

今回の修復工事によって、
鎌倉時代の土層を守るために約60cmかさ上げされ
バリアフリーとなり、土の歩道が消えました。
丸みのある石灯籠は、灯籠型の照明に取って代わられ
夜道を照らすようになりました。

水はけや、安全性に配慮された現代のニュー段葛。
これが今の私たちの知恵の精一杯だとしたら、
未来の段葛は、どのような姿になっていくでしょうか...

段葛二ノ鳥居.png

記憶の中に残っている以前の段葛の風景に、
今ここにある段葛の風景を重ねながら
未来の段葛の風景を、夢見ます。

人の手によって、同じものでも段々と
時代の風を受けて変わっていく風景。

ふと見上げれば、
いつの時代も変わることのない
大きな空が広がっています。

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豊島屋洋菓子舗 TOSHIMAYA YOUGASHIHO
置石

鎌倉市小町2-15-5
0467-22-8102
10:30-18:30
水休(祝日の場合は翌日)*定休日は変更することがあります。
「ラ・スリーゼ」は桜の季節限定です。
2016年は4月中旬で販売を終了しました。

置石.png


photo&文 中尾京子

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