祈

2013/05/01

「四国八十八カ所霊場巡礼記 @東京③ 香る」

『1日で巡るお遍路さん in 丸の内』は
会場全体が、香りに包み込まれていました。

お線香よりもやわらかく、
わずかに甘さや、明るさを感じるような香り…

すると、さきほどとは別のお坊さまが現われ、
一緒に入場した30人くらいの列に向かって
左手を上に向けて開くように言われました。

そして一人一人の手のひらの上に、
薄い灰茶色の“”を一つまみずつのせられます。

…これが、会場の香りのもと!


「これは塗香、
 “塗る香りと書いて
 “ずこう”です。*1

   煩悩をはらい、
 浄めるためのものです。

 まず左手のひらの上に
 右手のひらを乗せて合わせ
 粉をすりこむようにしてください。

 それから
 ハンドクリームをぬるように、
 手の甲や指の間にも
 いきわたらせてください。」


すりこむと見えなくなるほど細かい粉が
体温で温められ、香りが立ち上ってきます。

 
「では、
 両手を胸にあてて
 深呼吸してください。」


ふぅー すぅー ふぅー すぅー …


手の香りを深く吸い込んでいくと、
リラックスするような、
それでいて研ぎ澄まされるような不思議な感覚に。


まず
 外側が浄められ、
 そして今、
 内側も浄められていきました。」


香りに包まれながら、穏やかな声を聞いていると、
余計なことを忘れて、落ち着いていきます。


「それでは、
 後ろに振り返って
 お進みください。」


列の最後尾が、今度は最前列になるのですが
もう、慌てて割り込む人はありません。

少し先にテーブルがあり、
その前にもう一人のお坊さまが
水の入った小さな器を持って立たれました。

一同は促されて、頭を垂れます。
息を飲んだように静かになりました。


「今、皆さまの上に
 仏さまのお水をふりかけました。

 これは仏さまの“知恵”です。

 先ほど皆さまは、
 外側からも内側からも
 煩悩を浄められて、

 そして今、
 仏さまの“知恵”も、いただきました。

 これで準備ができました。

 ではどうぞ、
 行ってらっしゃい。」


白装束に着替えるわけでも、金剛杖も持たないけれど、
これが、旅の支度だったのですね。

会場に入った時には“押すな、押すなと、
自我の強かった一団も、“どーぞ、どーぞ”と
面白いほど変身をとげていて、

心を整えることの大切さを感じます。
香り、動作、言葉、といった
カタチあるものや、具体的な行動が
カタチを持たない心の動きを変えていく。

それからもう1つ、
仏さまのところへ進む前に、準備がありました。

仏さまの前にお供えしていく薄い紙のお布施束を、
いただきます。(千円也。お賽銭を供える方は不要)

   Dogyofutariup
ここには、

『同行二人(どうぎょうににん)』*2

の文字が書かれています。
どんな時にも、弘法大師さまが一緒ですよ♪
という意味。

一人じゃないって、
ステキなことです!

厳しいお遍路さんの道で、
これまで、どれだけの人がこの言葉に励まされ
助けられたことだろうかと思います。

 (つづく)

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*1

塗香(ずこう)は
インドに起源があり、体臭対策から発展し、心身の清涼感をもたらすものとして、仏教に取り入れられたと考えられている。
香りは、仏教のさまざまな場面で大事な役割を果たしている。お焼香は仏さまになられた故人にお供えすると同時に、残された方に清らかな香りで悲しみを癒してください、という意味もある。また特に真言宗では、お香はなくてはならないもの。お香なくして護摩法要は成り立たない。僧侶は御堂に入る前からおつとめの間中、口の中に香りの強い丁字(クローブ)を含み、行事の前には丁字を入れた丁字湯で身を清める。護摩法要では何種類ものお香を混ぜて、火の中に入れてお供えする。お香は仏さまの食べものでもあり、その薫りはすみずみまで伝わるので、すみずみまで清められると考えられている。
(☆参照:鎌倉鬼頭天薫堂のコラム 明王院 仲田晶弘さまの談話より)

*2
「同行二人(どうぎょうににん)」
お遍路さんは、弘法大師さまと二人連れ…つまり、弘法大師さまは、お遍路さん一人一人のそばにつねにいて、守ってくださっているという言葉。お遍路に使われる杖「金剛杖」は、弘法大師さまが宿るもの、弘法大師さまそのものとされている。


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