2018年9月の記事一覧

2018/09/30

「長月の精進料理」

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9月は長月とも言いますが、夜が長くなってくる"夜長月"からとも稲穂が長く伸びる"穂長月"からともいわれています。いずれにしろ風流な呼び名で、秋めいてくる雰囲気があって素敵ですね。
行事では五節句の一つ、重陽の節句があり、十五夜や秋のお彼岸も重なって、お月見団子やおはぎを作られた方も多いかと思います。
暑さ寒さも彼岸まで...とはよく言ったもので、本当にすっかり秋めいてまいりましたね。
今月は、猛暑で疲れ切った体をいたわる滋味あふれる料理にいたしました。
1.菊茸飯、2.沢煮椀、3.嶺岡豆腐、4.蒸し茄子の香菜和え、5.無花果の胡麻クリームかけ


1.菊茸飯
9月9日は重陽の節句。菊の上に綿を乗せて香りが付いた綿で身を清め、菊酒を飲み、長寿を祈る風習です。五節句のうちの一つですが、そのなかでは一番知られていない節句になってしまいましたが、大事に残していきたいですね。菊が変色しないよう、茸と炊いたご飯にちりばめました。もち米を入れましたので冷めても美味しいですよ。もち米は必ず一晩浸水させて使ってください。
材料:米3C、もち米1/2C、しめじ1パック、エノキ1/2P、食用菊5輪程度
昆布出汁690cc、塩小1/2、淡口大1、酒大1

1)もち米は前日からたっぷりの水に浸しておきます。
2)米は洗ってざるにあげて白っぽくなるまで最低15分はおいておきます。
3)しめじは小房に分け、石つきをとって長いものは1/2にしておきます。
4)エノキもおがくず部分を取り、3cm程度に切っておきます。
5)食用菊は花びらだけをむしり、酢と塩を入れた湯でゆでて水にとり、冷めたらざるにあげておきます。
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6)1)と2)を釜に入れに調味し、20分程度浸水させてから火にかけ、沸騰してきたらキノコ類を加えさらに加熱し、火を止めたら10分置いて天地返しして、菊を散らして食べます。
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2.沢煮椀
沢煮の沢には沢山という意味があります。いろいろな季節の具を入れた汁は滋味深く、夏の暑さにつかれた体にしみますね。この時期の茶事の煮もの椀としてもよく出されます。
精進でなければ豚の背脂を使用しますが、油揚げでもとてもよい出汁が出て負けてません。また吸い口は胡椒と決まっています。
材料:油揚げ1枚、人参30g、牛蒡50g、干椎茸3枚、絹さや7〜8枚、胡椒少々
吸い地:水出汁+椎茸の戻し汁6C、塩小1、淡口小2、片栗粉大2(同量の水)

1)油揚げは千切りにしておきます。
2)人参、牛蒡も千切りして、牛蒡は水にさらしておきます。
3)干椎茸は水で戻してスライスしておきます。
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4)絹さやは筋を取り、ゆでてから水にとって斜め千切りにし、水に放っておきます。
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5)だしに油揚げ、人参、牛蒡を入れ火にかけ、温まってきたら、干し椎茸を加えて調味して2分ほど煮て、水溶き片栗粉を加え再沸騰させたら火を止め、椀に盛り、絹さやを散らして、胡椒をふっていただきます。
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3.嶺岡豆腐
牛乳を使った料理には"嶺岡"とつきます。この料理は牛乳を使って葛で固めたものなので嶺岡豆腐。八代将軍・吉宗が、インドから千葉の嶺岡に馬とともに牛を連れてきたのが、日本の酪農の始まりだそうです。
練り胡麻を加えるレシピもありますが、今回は牛乳だけにしました。牛乳が苦手な方は豆乳でどうぞ。その場合、料理名は「呉豆腐」となります。

材料:葛粉60g(≒100cc)、牛乳400cc、昆布出汁1/2C、みりん小1、塩少々
練味噌(赤味噌100g、砂糖80g、酒大2)適宜、練りからし適宜

1)葛粉は昆布出汁に1時間以上つけておいてから、牛乳を加え火にかけ、常にかき混ぜつつ練っていく。途中糊状になってきたら一度火を止め、よくかき混ぜ、滑らかにし、また火にかけて10分程度鍋肌からはがれるようになるまで練ります。
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2)最後に味醂と塩少々を加えてひとかき混ぜしたら火を止め、ラップに包んで冷水につけ、冷やしておきます。
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3)練味噌を作ります。材料を鍋に入れよく混ぜてから火にかけ、混ぜながらふつふつと沸いてきたら火を止めます。
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4)さらに練り味噌を適量置き、その上に嶺岡豆腐を置いて、からしを天盛します。
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4.蒸し茄子の香菜和え
茄子が安くておいしい季節です。漬物、炒め物、蒸し物など、癖がなく、色が紫できれいなので、無限大にレシピがありますが、たまにはこんな風にエスニックな変化をつけるのも楽しいですね。もし香菜が苦手な方がいましたら、大葉で作ってください。
材料:茄子各4.本、香菜1/3把、
醤油大3、酢・煎り胡麻各大1・1/2、卸生姜1かけ分、ごま油大1

1)茄子は洗って10分程度柔らかくなるまで蒸し、食べやすい大きさに裂いておきます。レンチンでもいいですが、蒸したほうが皮が柔らかくなります。
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2)香菜は1cmに刻んでおきます。
3)ボールに醤油、酢・煎り胡麻・卸生姜を入れてまぜ、そこに1を入れて30分程度置いておきます。
4)食べるときに2とごま油を加えてひと混ぜして盛り付けます。
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5.無花果の胡麻クリームかけ
無花果の甘酸っぱさは、胡麻のとろっとした風味に大変よく合います。この胡麻クリームは柿と和え物にしても美味しいですよ。出汁はクリームが固いようなら足して伸ばしてください。
材料:無花果各1/2個、松の実大2程度
胡麻クリーム:練りごま大2、淡口・煮切味醂・煮切酒・砂糖各小1、出汁大1(調整用)

1)胡麻クリームを作ります。ボールに材料を徐々に入れ、よく混ぜ合わせておきます。
2)松の実は煎って、荒く刻んでおきます。
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3)無花果1個は、洗って縦1/4に切り、1をかけて2を散らします。
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レシピ&原稿:温石会 入江亮子
(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 9月の献立より)

2018/09/04

「文月の精進料理」

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亜熱帯の近隣アジア諸国より暑い、情緒もへったくりもない酷暑が続く毎日の我がニッポン。半世紀生きてきて、こんなにサバイバルを感じた夏もありません。でも、ふーふー言いながらたからの庭のストロークを上ってくれば、木槿の花が元気に空に向かって咲いています。玉紫陽花もつぼみが膨らんで咲き始めているものもあります。またあちこちにセミの抜け殻があって、そんな一つ一つの光景が、束の間暑さを忘れさせてくれる、素敵な空間、たからの庭。
さて、今月は新物の牛蒡を使った炊き込みご飯、数分あればできてしまうトマトのすり流し、蒟蒻を使ったお刺身、珍しい白茄子を使った豆乳のグラタン、アンコールで江戸の甘辛味が利いた枝豆の東煮などを作りました。どれもちゃっちゃと作れる旬の味です。
1.夏牛蒡飯、2.赤茄子のすり流し、3.山河豚の刺身、4.白茄子の豆乳グラタン、5.枝豆の東煮


1.夏牛蒡飯
初夏は新牛蒡の旬。アクも少なく柔らかくて使い勝手がよい野菜です。根菜類というと冬のイメージですが、出始めの新物をこんな風に炊き込みで食べるのも楽しいですよ。お揚げがまたいい出汁で活躍してくれます。
材料:米3C、新牛蒡200g、人参20g、油揚げ1枚、水出汁650CC、淡口大1、酒大2、塩小1/3、味醂小1

1)米は洗い、ざるにとって表面が白くなるまで、最低15分はおいておきます。
2)牛蒡は洗って斜めの薄うちにし、水に放っておきます。
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3)人参は1.5cmの長さのせん切にします。
4)油揚げはみじん切りにします。
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5)釜に米と調味料を入れ20分程度おいてから、2~4までも加え炊きます。
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2.赤茄子のすり流し
赤茄子とはトマトのこと。皮ごとミキサーにかけてからさっと火を通し、急冷して色止めします。火を入れるとあたりが柔らかくなるのでしますが、フレッシュ感を出したい場合は生でどうぞ。砂糖の量はトマトの甘味で調整してください。
材料:赤茄子750g(中サイズで5個くらい)、砂糖大2・1/2、蜂蜜大1、大葉5枚、レモン汁適宜(味調整用)
1)トマトは皮ごと乱切りし、種も全部ミキサーへかけます。
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2)砂糖を加え火にかけ、沸騰したところでアクを引き、蜂蜜とレモン汁で調整して氷水で急冷します。
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3)大葉は千切りし、アクを抜くため水に放っておきます。
4)椀に2を注ぎ、大葉を天盛します。
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3.山河豚の刺身
山河豚は蒟蒻の別名。蒟蒻の弾力が河豚の食感にしていることから付きました。
材料:蒟蒻1・1/2枚、大葉各1枚、海藻適宜
練味噌:仙台味噌70g、砂糖60g、酒大1、酢40cc、練り辛子適宜

1)蒟蒻は熱湯で数分ゆがいてからザルにあげて冷ましておきます。
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2)鍋に味噌と砂糖と酒を入れよく練ってから火にかけ、かき混ぜながら中火でふつふつと言ってきたら火を止め、酢を入れます。食べる直前、辛子を加えてください。
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3)1が覚めたらスライスして大葉を敷いた器に並べ、、手前に水で戻した海藻と辛子酢味噌を置きます。
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4.白茄子の豆乳グラタン
白茄子はこの1,2年でだいぶ見かけるようになりましたが、茄子紺と呼ばれる茄子独特の濃い紫の色素ナスニンのない品種で、アクも少なく、身は加熱するととろっとするのでスライスしてグラタンにしました。精進のグラタンの基本のソースですのでお口に合いましたらいろいろな具で作ってみてください。ジャガイモでとろみをつけました。今回ならトウモロコシですが、食感の違う具を合わせるのもポイントです。なお、どうしても玉ねぎがないとよい甘味がでませんので使いました。ゆえに正式にはこれは精進料理ではありません。
材料:白茄子2個(550g)、玉ねぎ1/2個、トウモロコシ1本、米油適宜
豆乳500CC、白みそ・淡口各大1、塩小1/3、砂糖少々、ジャガイモ(小)1/2個、シュレッドチーズ少々

1)白茄子はヘタを落とし、縦1/2にしてから厚さ5mm程度に切って、玉ねぎスライスとともに軽く油で炒めておきます。
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2)トウモロコシは実だけそいでおきます。
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3)豆乳、白味噌、淡口醤油、塩、砂糖を混ぜ合わせ火にかけ、ふつふついってきたら、ジャガイモのすり下ろしを徐々に加えてとろみをつけます。
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4) 1)、2)をほうらくに入れ、3を流しいれ、チーズを乗せ焼き目が付けば出来上がりです。
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5.枝豆の東煮
旬の枝豆は塩ゆでだけでは詰まりませんね。甘辛く炊いて、皮をチューチューしながら食べるのも楽しいですよ。
東煮とは関東の煮物という意味。砂糖と醤油のしっかりした味わいが特徴です。
材料:枝豆400g、ごま油少々、唐辛子1本、砂糖・醤油各大2、酒・水各大4

1)枝豆は塩をふり、ザルで転がして産毛をとり、さっと洗います。
2)唐辛子はぬるま湯で戻して、種をとり、小口に切っておきます。
3)フライパンに油をしき、枝豆を入れ、いためてしんなりしてきたら、2を加え油を絡ませ、砂糖と醤油を加えます。
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4)さらに酒・水を3に加え、蓋をして弱火で5分程度蒸煮にし、蓋を取って火を強めて煮〆ていきます。煮汁がほとんどなくなれば出来上がりです。
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レシピ&原稿:温石会 入江亮子
(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 7月の献立より)

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