2016年1月の記事一覧

2016/01/28

「睦月の精進料理」

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新年を迎え、きりっと気持ちが引き締まったのもつかの間、お屠蘇とおせち、お雑煮ですっかり緩んでしまった日常を戻すのが大変ですね。今月は、暴飲暴食をした体を立て直すのにお役に立てるような特にヘルシーな献立にしてみました。大根飯というと葉を塩もみして、炊いたご飯に混ぜるものが多いかと思いますが、甘くてジュージーな身のほうも炊きこんでのご飯。粕汁の概念が変わる、野菜たっぷりのとてもクリーミーな粕汁。様々な具が入った味わい深い擬製豆腐。殿様葱の名そのものの立派な下仁田ネギの油酢漬け。市田柿のサンド2種です。どれも簡単に作れるようにしてあります。ぜひ日常の献立に入れていただけると幸いです。
鎌倉では蝋梅や水仙の香があちこちから漂ってきます。菰で覆われ大事に育てられた冬牡丹も見ごろを迎えています。また、初不動や、筆供養など、1月はお寺さんの行事も意外と多いんです。白い息を吐きながらの冬のお散歩も楽しいものです。ぜひ、冬の鎌倉もごひいきに。

1.大根飯  2.粕汁  3.擬製豆腐 4.下仁田葱の油酢漬け  5.市田柿のサンド2種

1.大根飯
大根飯というとドラマ「おしん」を思い浮かべる方も多いかと思いますが、この時期に食べる大根飯は本当に甘くておいしく、癖になります。大根でかさ増ししているので、かなりカロリーも抑えられていますし、葉にはたっぷりビタミンCも含まれて、消化酵素のジアスターゼが胃もたれも防ぎますよ。

材料:米500cc、昆布出汁600cc、大根200g、葉3本程度、塩小1/2、煎り胡麻大1程度、
胡麻油適宜、淡口・味醂各小1

1)米は洗ってざるにあげておきます。
2)大根は皮ごと3cmの長さの千切りにします。しっかと炊くので気になりませんので、皮ごとどうぞ。
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3)葉はよく洗って小口切りにして、胡麻油で炒め、淡口醤油と味醂で味をつけておきます。
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4)洗った米と大根の千切りをあわせて、調味・浸水して炊きます。
5)10分蒸らしたら、炒めて下味をつけておいた葉を加えまぜてお茶碗に盛り付けます。好みで煎り胡麻を散らしてどうぞ。


2.粕汁
新酒の季節です。できたての酒粕が出回り始めました。酒粕を使った代表的料理の粕汁ですが、どうもあまりご家庭は評判がよろしくないですよね。どこに原因があるのかといえば、粕のつぶつぶと、煮詰まった感じにあるのではないかーと思い付き、以下のレシピにしました。一度にたくさんの野菜も食べられ、なにより栄養価も高く、酒のあてにもいいし、体か芯から温まりますよ。今までなかなかうまく作れなかった方は、ぜひお試しくださいね。

材料:大根200g、京人参50g、生椎茸2枚、芹少々、蒟蒻1/3枚、油あげ1枚、
酒粕150〜200g、酒大1、信州味噌大2〜3
昆布出汁5C

1)酒粕は水と酒で柔らかくして、ミキサーにかけて、クリーム状にしておきます。粕によって硬さが違うので、分量が具体的に出せませんが、一般に売られている板粕1Cに対して300CCの水と酒50ccくらいでいいかと思います。
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2)大根、京人参は皮をむいて小さめの乱切にして、水からやわらかくゆでておきます。
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3)芹は刻んでおきます。これは吸い口に使います。粕汁には定番の吸い口です。
4)蒟蒻は短冊に切って、塩一つまみ入れゆでて、あくを抜いておきます。あく抜きとして売っていても独特の風味が残っていますし、水分を抜くという意味もありますので、必ずゆでてください。
5)しいたけはスライスし、さっとしもふり、水にとっておきます。
6)油あげは盆ザルにのせ、上から湯をかけ油抜きしてから、縦1/2にしてから7mm程度の短冊に切っておく。
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7)昆布出汁に下ごしらえした材料を入れ、煮立ってきたらアクをひき、酒粕を溶き入れ、信州味噌で味を調整します。この信州みそは白味噌を使ってください。西京味噌でも結構です。西京味噌の場合はもう少し入ります。
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8)椀に盛って、芹の小口切りを散らします。


3.擬製豆腐
擬製豆腐とは、まさに豆腐のように四角く作った料理のことです。義性さんというお坊さんの名前からとも言われており、ルーツは諸説ありますが、豆腐を裏ごして人参や干し椎茸などの野菜を入れて四角く作った料理には変わりありません。通常は卵でまとめますが、精進料理では卵はご法度。なので、大和芋でまとめました。甘辛くて冷めるとより美味しいので、お弁当などにも重宝です。芋の代わりに卵を使用する場合は2個お使いください。

材料:豆腐1丁、絹さや5〜6枚、人参20g、干ししいたけ2枚、ネギ5cm、油適宜、大和芋50g、
砂糖・醤油各大1、塩一つまみ、浮き粉小2油適宜

1)豆腐は重石をしてしっかり水切りしておきます。
2)絹さやはさっと茹でて水にとり、斜め切りしておきます。
3)人参、戻した干ししいたけは千切り、ネギは小口切りにしておきます。
4)フライパンに油をしいて2〜3をいため、調味し、しっかりと水気を飛ばします。
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5)水切りした豆腐を裏ごしし、すりおろした大和芋、塩、浮き粉、炒めた具を加え、よくまぜます。
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6)フライパンにクッキングシートを敷いてから、5を流しいれ、蓋をして数分焼き、裏返して2分程度焼きます。具が多いので、テフロンのフライパンでもくっつきやすく返しにくいので、クッキングシートを使いました。これだと脂を敷かずに済みます。またフライパンで焼くと厚さがでないので、早く火が通りますし、手軽です。
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7)冷めてから丸い四方をカットして四角くして、器に合わせて食べやすい大きさに切ります。
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ほかに合う具としては、牛蒡、隠元などもいいでしょう。洋風にするなら、パプリカとかトマトをいれても面白いかもしれません。


4.下仁田葱の油酢漬け
大蒜、韮、葱類などは五葷(ごくん)といって、肉や魚とともに精進料理では避けるべき食材とされています。この五葷、ご存じのように非常にパワフルで精がつくので修行の妨げになってはいけないからなのですが、ちょうどお世話になっている下仁田葱の生産者様から新鮮なおねぎが送られてきましたので、衆生の私たちはちょっとお許しをいただいくことにしました。
油酢とはソースビネグレットのことです。日本料理でもこうしたドレッシング漬けはよく作ります。

材料:下仁田ネギ2本、太白胡麻油適宜、水大2程度
漬け地:太白胡麻油大2、酢小2、塩小1/3、砂糖少々、淡口ぽたぽた、赤唐辛子1本、柚子皮適宜

1)下仁田葱は3〜4cmに切って、油を敷いたフライパンで焼き目をつけてから水を少々加え、蓋をして火をしっかりと通します。この焼き目の香ばしさも味のうちです。焦がさないように、でも色はしっかりと付けましょう。
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2)分量の調味料をボールに入れてよくかき混ぜ、ドレッシングを作り、赤唐辛子も入れて1を漬けます。作ってすぐでも食べられますが、半日くらい冷蔵庫で寝かせるとまろやかになってなお美味しいです。
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3)赤唐辛子は盛り付けの時に小口きりにして天に盛ってください。
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5.市田柿のサンド2種
市田柿は長野の伊那地方の特産品で上品な甘みがたまりませんよね。ポリフェノールもたっぷりで、女性には大切な食べ物でもあります。そのままいただいてもいいのですが、ちょっとクリームチーズやナッツ類を挟むとたちまちお酒のおつまみや紅茶のおともに大変身です。形もキュートですので、ホムパのおもたせにもどうぞ。

材料:干し柿各2個、クリームチーズ適宜、揚げ胡桃適宜

1)干し柿はヘタを切り落とさないように1/2に切り込みをいれ、種を出しておきます。
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2)1つにはクリームチーズをナイフなどではさみ込みます。
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3)もう一つには揚げた胡桃をはさみ込みます。胡桃はあげたほうが香ばしくなり、美味しいですよ。ほかにもマロングラッセや白餡などもはさんで美味しい具のひとつです。
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レシピ&原稿:温石会 入江亮子
(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 1月の献立より)

2016/01/25

「07 初春の雪と、鎌倉の花びら餅」

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鎌倉には「雪ノ下」という地名がある。

源頼朝のために、冷たい雪を貯蔵していた
雪屋(氷室)があったから、とも、
植物のユキノシタが群生していたから、とも
由来には諸説あるけれど、

「雪ノ下」というのはまた、
日本の「かさねの色」*の一つを表す言葉でもある。

雪におおわれた紅梅の色。
うっすらと降り積もった白い雪の下から
透けて見える紅のことをいう。

春そのものではなく、春の兆し。
まさに今、初春を映す日本の色。


その色をもつ和菓子がある。
初春を祝う縁起物、花びら餅である。

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白い求肥の下から、練りきりの紅色が
うっすらと透けて見える。


鎌倉では、雪ノ下の隣街、小町の老舗
「美鈴」の"一月の御菓子" が、花びら餅。

花びら餅の原点は、平安時代の宮中新年行事
"歯固めの儀式"にあるという。
白の丸餅に紅色の菱餅を重ね、
その上に、猪肉、鮎の塩漬けなどをのせて
長寿の願いを込めて食べていたもの。
もとは御菓子ではなかったのだ。

やがて時代とともに材料はシンプルになっていき
甘い白みそに、甘く煮たゴボウを挟む、という今の姿へ。
変わらないのは、かさねの色である。

何百年もの間、宮中のものだった花びら餅が全国へ広がったのは
明治時代に、裏千家が初釜の御菓子として使ってからだとか。

「美鈴」は、この伝統的な みそ餡だけでなく
小豆餡の花びら餅を作っている。

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モノクロ・モダンな、鎌倉流の花びら餅。
餡の黒色と、白い練りきりが透けて見える。

あずき餡は、みそ餡よりも親しむ機会が多いけれど
甘いゴボウとの組合わせというのは
やはり新鮮である。

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新春の御菓子だから、
一月のこの時期にしか、巡り会うことがない。

毎年お正月が来るたびに、新たな気持ちで対面する。
ファーストコンタクトの初々しい感動が甦る。

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今年も一月に、鎌倉に雪が降り
冷たい空気が 張りつめているけれど、

晴れた日には、
太陽の光が 温かな色になる。
海が キラキラ輝きだす。

毎日少しずつ日中の時間が長くなり、
梅の枯れ枝の先に、丸いつぼみが
いつの間にか ついている。

雪の向こうに 春が来ていることを
花びら餅が 教えてくれる。

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美鈴
鎌倉市小町3-3-13
phone 0467-25-0364
9:00-18:00 火曜定休

月替わりのお菓子と、花などを象った上生菓子があり
季節の美しさと楽しさを味わえる。

*「かさねの色目」について参考にさせていただいたサイト
http://www.543life.com/kasaneirocolumn.html
和文化研究家 高月美樹さんの記事から
http://www.mode-japonesque.com/mj/kasane/itiran/winter/itiran.html
もーど・じゃぱねすく

*「かさねの色目」とは平安時代の宮廷着物文化から生まれたもので
以下3つを表す言葉といわれている。
・色の違う二枚の衣を表裏に合わせて仕立てた時、重なりによって生まれる色合い。
・異なる色の布を重ねて着た時の色のこと(襲ね色目)
・異なる色の縦糸と横糸で織り上げた布の色のこと(織り色目)


photo&文 中尾京子

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